易(周易・断易・梅花心易)について
易に3種あり。周易、断易、梅花心易。

易(えき)は、古代中国で生まれた考え方です。
もともとは占いとして使われていましたが、
世の中の変化や、人の生き方を考える知恵でもあります。
易では、「陰」と「陽」という二つの力を使います。
この二つが入れ替わりながら、
世界は変わっていくと考えます。
難しそうに見えるかもしれません。
でも、基本はとてもシンプルです。
「今の状況を知り、どう行動すべきかを考える」
それが、易の大きな目的です。
このページでは、
周易・断易・梅花心易といった易の種類を、
できるだけ分かりやすく紹介します。
はじめて易にふれる人でも、
安心して読み進めてください。
◎周易
周易は易経に記された、爻辞、卦辞、卦画に基づいた占術であり、易経の異名の一つである。
◎周易とは
『易経(えききょう)』は、古代中国で書かれた本です。
とても大切な書物で、「五経(ごきょう)」の一つに数えられています。
だれが書いたのかは、はっきり分かっていません。
しかし、昔からの言い伝えがあります。
六十四卦(ろくじゅうしか)を作ったのは伏羲(ふっき)だとされています。
また、文章のもとになった卦辞(かじ)や爻辞(こうじ)は、周公旦(しゅうこうたん)が作ったと伝えられています。
『易経』の考え方の中心は、「陰」と「陽」です。
この二つの力がぶつかり合い、また結びつくことで、世の中は変化すると考えます。
そのため『易経』は、世界の仕組みを説明する本とされています。
同時に、人がどう生きるべきかを教える本でもあります。
文章はとても短く書かれています。
しかし、その中には深い意味がこめられています。
また、「玄学(げんがく)」の考え方では、
『老子道徳経』や『荘子』と並び、「三玄(さんげん)の書」と呼ばれます。
さらに中国では、
『黄帝内経(こうていないけい)』や『山海経(さんかいきょう)』と合わせて、
「上古三大奇書(じょうこさんだいきしょ)」とも呼ばれています。
周易の概要(易)
『周易(しゅうえき)』は、もともと古代中国の占いとして発展しました。
最初は、未来を占うための方法でした。
そのもとになったのが「易占(えきせん)」です。
言い伝えでは、伏羲(ふっき)が自然の動きを見て、八卦(はっけ)を考え出したとされています。
その後、周王朝の時代に占いの技術が進歩しました。
そして、今の形に近い六十四卦(ろくじゅうしか)がまとめられました。
はじめのころは、亀の甲羅や動物の骨を焼きました。
できた割れ目の形を読み取る占いが行われていました。
これを卜占(ぼくせん)といいます。
やがて、陰と陽の考え方や、五行思想と結びつきました。
そうして、占いは哲学的な考え方へと発展していきました。
周易の始まり
「周易」という名前は、周王朝に由来します。
この時代に、易占の仕組みが整えられたためです。
『周易』は、儒教の基本書である「五経」の中でも、特に重要な本です。
しかし『易』とだけ呼ばれることもあります。
ふつうは、『周易』に解説文を加えたものを一つの書とします。
この解説文は「十翼(じゅうよく)」や「伝(でん)」と呼ばれます。
一般に「易経」という場合、この形の本を指すことが多いです。
ただし、本来の『易経』は、卦の図や文章だけの二つの部分を指します。
『周易』は、「三易(さんえき)」の一つです。
三易とは、「連山(れんざん)」「帰蔵(きぞう)」「周易」の三つをまとめた呼び方です。
太古からの占いの知恵を、整理してまとめたものです。
そこには、深い宇宙の考え方もふくまれています。
易には、二つの考え方があります。
形や数を重視する「象数易(しょうすうえき)」です。
もう一つは、意味や考え方を重視する「義理易(ぎりえき)」です。
象数易は漢の時代に広まりました。
義理易は宋の時代に広まりました。
『史記(しき)』という歴史書があります。
そこには、占い師の司馬季主と学者の賈誼の議論が書かれています。
その中で、易は「昔の王や聖人の教え」と説明されています。
周易の概念(易)
筮竹(ぜいちく)という道具を使って占いをすると、「卦(か)」と呼ばれる記号が得られます。
卦は、6本の横線でできています。
この横線を「爻(こう)」といいます。
爻には二つの形があります。
一本線の「─」と、切れた線の「- -」です。
6本の爻は、3本ずつ上下に分かれています。
上と下の3本を重ねて、一つの卦になります。
この3本の組み合わせでできる8つの基本の形を、「八卦(はっけ)」と呼びます。
『易経』は、もともと占いの本です。
しかし、「易伝(えきでん)」では、卦の形は自然から生まれたものだと説明されています。
ところで八卦は、さまざまな物や出来事を表します。
その説明は、「説卦伝(せっかでん)」にまとめられています。
たとえば、自然現象にあてはめる考え方があります。
乾(けん)は天、坤(こん)は地を表します。
震(しん)は雷、巽(そん)は風です。
坎(かん)は水、離(り)は火です。
艮(ごん)は山、兌(だ)は沢を表します。
また、人間の家族にたとえる考え方もあります。
乾は父、坤は母です。
震は長男、巽は長女です。
坎は次男、離は次女です。
艮は末の息子、兌は末の娘を表します。
一方、爻にも意味があります。
「─」は陽、「- -」は陰とされます。
この二つは、反対の性質を表します。
ところで戦国時代より後、儒家の人々は新しい考え方を取り入れました。
陰陽思想や黄老思想です。
なお、それらを使って、天地や万物の変化を説明しました。
その結果、『易』は占いの本であるだけでなく、
大切な経典としての地位を確立したのです。
周易の占法(易)
ところで『易』の本文には、占いのやり方についてはほとんど書かれていません。
占いの方法は、「繋辞上伝(けいじじょうでん)」に少し説明されているだけです。
この説明をもとに、後の時代の学者たちが占いの方法を考えました。
まず唐の時代には、孔穎達(こうえいたつ)が『周易正義』を書きました。
さらに南宋の時代には、朱熹(しゅき)が『周易本義』の中で占いの作法をまとめました。
なお、現在行われている易の占いは、主に朱熹の考え方にもとづいています。
易で占うときは、まず卦を決めます。
これを「立卦(りっか)」といいます。
立卦には、筮竹(ぜいちく)を使う方法があります。
易の立て方
もっとも正式な方法は「本筮法(ほんぜいほう)」です。
手間を少なくした「中筮法」や「略筮法(三変筮法)」もあります。
また、コインを使う方法や、サイコロを使う方法もあります。
これらの方法では、占おうと決めたそのときの偶然によって卦が選ばれます。
方法は大きく二つに分けられます。
一つは、1本の爻を選ぶ操作を6回くり返す方法です。
本筮法や中筮法がこれにあたります。
もう一つは、八卦を二つ重ねて卦を作る方法です。
略筮法などがこの方法です。
さらに、占いでは「変爻(へんこう)」を調べます。
変爻とは、陰と陽が変わろうとしている爻のことです。
どこに変爻があるかで、状況の変化を読み取ります。
最初に得られた卦を「本卦(ほんか)」といいます。
変爻によって変わった後の卦を「之卦(しか)」といいます。
こうして卦が決まったら、『易経』の文章を読みます。
卦や変爻の意味をもとに、今の問題や状況を考えます。
それによって、判断を下すことを占断(せんだん)といいます。
断易
断易(だんえき)とは、易の卦を使った占いの一つです。
卦を作る爻(こう)に、十二支(じゅうにし)を当てはめます。
さらに、五行(ごぎょう)や陰と陽の関係を見ます。
それらを組み合わせて、物事の良し悪しを判断します。
断易は、短い期間の問題を占うのに向いています。
はっきりした答えを知りたいときに使われました。
たとえば、今うまくいくかどうか、といった判断です。
この占いは、実際の判断に役立つとされてきました。
商人は商売の決断に使いました。
医師は治療の判断に役立てました。
軍人も作戦を考えるときに用いたとされています。
◎断易とは
断易(だんえき)は、「五行易(ごぎょうえき)」とも呼ばれます。
木・火・土・金・水の五行と、陰と陽の考え方を使って卦を読みます。
それによって、結果を導き出します。
断易には、いくつかの別の呼び方があります。
「鬼谷易(きこくえき)」や「納甲易(のうこうえき)」とも呼ばれます。
断易は、周易で使われる六十四卦をもとにしています。
そこに、十二支や五行の考え方を組み合わせます。
こうして、独自の占いの方法が作られました。
六十四卦といえば、周易が有名です。
しかし、断易は周易とは大きくちがいます。
考え方も、占いのやり方も別のものです。
そのため断易は、
「易の形を借りた干支(えと)の占い」
と表現されることもあります。
断易の用途(易)
断易(だんえき)は、中国の春秋戦国時代に生まれたという説があります。
道士(どうし)である鬼谷子(きこくし)が作った、という伝説です。
ただし、これはあくまで伝説とされています。
文献によると、前漢の時代に京房(けいぼう)という役人がいました。
断易は、この京房によって形が整えられたと伝えられています。
断易は、結果がはっきり出る占いです。
良いか悪いかを明確に示すことを得意とします。
「はい」か「いいえ」で答えられる質問にも向いています。
また、どちらが優れているかを知りたいときにも使われます。
この占いは、
短い期間のことや、具体的な出来事を占うために用いられます。
はっきりした答えを知りたいときに役立つ占術です。

梅花心易
梅花心易(ばいかしんえき)は、中国の北宋(ほくそう)時代の学者、
邵康節(しょうこうせつ/1011〜1077)が考え出した占いです。
この占いは、周易をもとにしています。
梅花心易では、特別な道具を使いません。
身のまわりの出来事や、ふと起こった偶然を手がかりにします。
直感や、目の前の現象を大切にします。
そして、時間や場所、そのときの状況を考え合わせます。
そうして、物事の良し悪しを判断します。
考え方は周易に似ています。
しかし、「時(とき)」の考え方を強く取り入れているのが特徴です。
邵康節は、この占いを一つの体系としてまとめました。
五行の「相生(そうしょう)」と「相剋(そうこく)」を使います。
そのため、より深い分析ができるとされています。
梅花心易は、
周易や断易と並んで「三易(さんえき)」の一つと呼ばれています。

易のまとめ
易は、ただ未来を当てる占いではありません。
自然の流れや、人の行動を見つめる知恵です。
周易は、
世界の仕組みや、生き方を考えるための易です。
断易は、
具体的な問題に、はっきり答えを出す易です。
梅花心易は、
偶然や「時」を大切にし、直感で読み解く易です。
それぞれの易には、役割のちがいがあります。
しかし、どれも「変化を知り、判断する」ためのものです。
易を学ぶことは、
自分自身や、今の状況を見つめ直すことでもあります。
難しく考えすぎず、
一つの考え方として、気軽にふれてみてください。
